巨大な魚影を気にしながらも釣りを開始する。

 

目次
思考と模索
大物の証明

 

思考と模索


魚影は見えているのだが中々口を使ってくれない。しかも底の方で悠々と泳いでいるデカバン(※50cm以上の石鯛)達がいるではないか。

 

これといって良い対策も思い浮かばず、エサを付けては何度も打ち直す。ひたすらそんな事の繰り返しであった。なんせエサ取り(金魚)猛襲にあい、付け餌も1分と持たない最悪の状況だった。

 

俺

ああぁ~!どうするべ~(汗)

 

その時!ふっと頭をよぎったのは海苔にパン粉。ずっと前から何回も試した海苔釣法。ここでは思うような釣果が出なくて諦めた事。

 

俺

もう残るは…パン粉釣法しかないか…?

 

早速、パン粉を一握りとV9を少々、水を少しずつ浸しながら手の中で硬さを確認する。

 

柔からず硬からずで落ちて行くときに、パン粉がパラパラと溶けてばらける位の硬さがベストである。あまり練り込むとばらけないので試行錯誤しながらやってみる事にした。

 

マキエはパン粉を団子にして手撒きしたほうがいいみたいだ。G杯で対戦した大分の選手が手で撒いていたのを早速真似てみる(笑)

 

ウキは全游動の00で竿1本の半游動にし、当然のようにパン粉の重みでウキは当然シモる。ウキを目視しながら流し込んでゆく。しばらくするとウキが完全に見えなくなってしまうがそのまま落とし込む。

 

そしてここからが一番の緊張である。しかもこれでいつ食ってくるかわからず、けして油断できない瞬間でもある為だ。幾度となくこまめに手返しを繰り返し、当たりを待つも何の動きもなくただ時間だけが過ぎてゆく。

 

Kの方を見ると相変わらずコッパグレ(小メジナ)と遊んでいるではないか。本気でやれとよ…心の中で思いながら、自分の手元に集中する。

 

大物の証明

少し焦る気持ちを抑える為にクーラーBOXからコーラを取り出し渇いた喉を潤した。しばし休憩とクーラーBOXに腰を下ろし、今日3本目のタバコに火を付ける。

 

俺

自然の中での一服がほんと幸せだなぁ…

 

と訳の分からない独り言を呟きながらリラックスモードに突入。

 

そんな感じで黄昏ていると、テトラの先端でやってたKの竿が湾曲に曲がっているではないか。しかもKの必死に耐える姿、額からは流れ落ちる大粒の汗が光ってみえる。

 

あの竿の曲がり動きからしてあれはおそらくクロではないか。もしくはクロであって欲しいと両軸で考え祈った。

 

走る魚を竿でためてためてようやくウキが見える所まで持ち上げた。やっと観念したのか獲物が姿を現した。真っ黒の立派な地グロ。45~46cmはありそうに見えた。

 

釣り仲間K氏
釣り仲間K氏

よっしゃ!よっしゃ!

 

思わず俺は手を叩く。満面な笑顔でKがテトラから上がってきた。さっそく獲物をタモから取り出しメジャーで計ってみると、何と何と予想外の49cmとBIGサイズであった。

 

釣り仲間K氏
釣り仲間K氏

やったぁ!自己更新ですわ!

 

と笑顔で話すK。

 

俺

さて、今度は俺の番やな?

 

逸る気持ちを抑え竿を握った。もう時計は16時を指している。あまり時間がない。

 

1発デカバン狙いでパン粉釣法で今回は通す事にした。それからしばらく沈黙の時間が流れる。Kに焦りを悟られないように、ライフジャケットの胸ポケットからタバコを一本取り出し火を付けた。

 

と、その時!

 

それを待ってたかのように止めたリールから糸が音をたて出ていった。待望の当たりである!予想外の展開に慌てて出てゆく糸を押さえた。その瞬間1.25号の穂先が海中に刺さった。

俺

おおぉ~デカい!

 

瞬時に頭の中をゴーマル(50cmオーバー)がよぎった。

 

続く…

 

【磯に表札を】ホームグランドの地磯サボテン公園(宮崎県)編(最終章)