地磯サボテン公園で無事良型クロをゲットした。いつものようにタンポリに入れて次のクロを求めに再度竿を出す。
順調な釣果
逸る気持ちでコマセを打ち2投目を打ち込む。やはり同じようにウキが揉まれ消えてゆく。
▼前回のあらすじ
https://gurenavi.jp/2017/0716222356.html
ん?これも当たりか?
緊張の瞬間である。糸を張り当たりを待つ。そして竿にきいてみる。だが穂先戻ってきた。
あああぁ~・・・外したかぁ~。
巻き取り針を見ると、皮だけ残しうまいこと身だけ吸いとっている。これはエサ取りではなく、本命クロがエサを取った証拠でもあった。
おお~!クロや!
俄然やる気が湧いてきた。焦る想いを落ち着かせ、丁寧に沖アミの頭と尻尾を取り針に刺し、同じように仕掛けを振り込み糸を張り気味に流す。
緩やかに流れゆく潮が本流とぶつかる潮壁にくると、先ほどと同じようにウキがシモリ始め、そして次第に見えなくなってゆく。またしても緊張の一瞬だった。
出していた糸を指で押さえ止める。何故か?気が付くと俺は息も止めていた。読み通り狙いは的中し、グ~ンと竿を絞り込んだ。
よっしゃ~!
思い切り合わせる。かなりの重量感が竿から伝わってくる。念のためもう一度合わせを入れた。全游動なので、よく失敗してしまうためである。すっぽ抜けを防ぐ為に必ず2度がけを心掛けてる。竿から伝わるこの重量感は本命が掛かったときの瞬間である。
たまりませんね!
奴は左の沈み瀬へと走る。
糸は出せぬ。出すと必ず沈み瀬に突っ込むからだ。竿を左に倒し頭をこちらへ向ける。そのまま巻かず竿で目一杯持ち上げる。今度はヤツは走りを右向きに変えた。
しめた!
右に倒し思いっ切り持ち上げる。幾度となくそんなやり取りを繰り返し、ようやくリールが巻けるようになった。
そして何とかウキ見える所までこぎつけた。穂先で頭をこっちに向かせ、奴は観念したのか素直にタモに納まってくれた。タオルで掴みハリを外す。まんまるとした居付きのクロで見た目45cmはあるだろうと笑顔になった。
とりあえず後ろにある、タイトプール(通称タンポリ)にクロを入れ釣りを開始する。後ろに気配を感じたので振り向くと笑顔の二人が立っていた。
こんにちは!いい型ですね?さっき上で見てたんですよ。いつも来られてるみたいで、ちょっと見学させてもらっていいですか?
特に断わる理由もないので
ハイ!いいですよ!
軽く会釈し承諾した。丁度、一服もしたかったので竿をチャランボに立て休憩することにした。
あの~、よく来られてるでしょう?
と親らしきガタイの良い方が笑顔で話しかけて来られた。
黒い刺客
そうですね、仕事があるのでいつも午後からよく来てますね!
そうなんですね。上からよく見させてもらってますよ!
ああ~そうだったんですか!そちらは息子さん?
息子がうん!と頷く
はい!私たちはよく親子釣りしてますね。
良く見ると2人共上から下までコテコテの「gamakatsu」でキメてるではないか。
実は藤田さんには油津で何度かお会いしてます!
ええぇ!そうでしたか!気づかなくてすいませんでした…
そんな世間話をしていた。すると息子さんが
さっき釣ってたクロ見せて貰っていいですか?
ああ~!いいよ!このタンポリで泳いでいるはずだよ。
すると2人して見に行ったので、チャラン棒の竿を取り釣りを再開した。直ぐに親子が戻ってきて
あれ~タンポリにはいませんけど?
ん?そんな馬鹿な?たしかに入れたはずだが…
嫌な予感がした。竿を置き確認する為にタンポリのある場所へ行くと確かに何もいない。
え~?そんなはずはない!確か入れた!間違いなく入れた!
と言ってると 馬の瀬にいた常連Tさんが大声で言った
さっき、カラスがそこの周りをウロウロしてたけど?
え~!まさか・・・!
近くを見渡してると、ちょっと先にカラスが何か突っついてる。竿を置き、近づいて行くとカラスは飛び去っていった。
そこへ3人で行ってみると、何とそこに無残に岩に横たわるクロの姿があった。身体にはキズひとつもなく目ん玉だけえぐり取られていた。
よくも、あんなデカイ奴を生きたままくわえて行ったものだと…よく考えれば、スカリかクーラーに入れていればあんな悲惨な死に方しなくても良かっただろうと反省もした。
気を取り直し、もう少し時間があったので釣りを開始する。親子は同じように見学している、息子さんが言う…
ウキが見えなくなったけど当たりじゃないんですか?
いや!今は潮壁で揉まれ仕掛けが入っている最中。これから当たるよ!
すると、綺麗に穂先を絞り込んだ。
オオ~!スゲェ!
息子が叫んだ。こうして2枚のクロをゲットし納竿にした。今日は色々あったが二人の釣友が増えた日でもあった。そしてまたひとつの教訓とひとつ引き出しが増えた。
たまには後ろも振り向こう
猿とカラスが待っている(字余り)
完
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