それからはパターンがわかり、入れ食いモード突入。イサキにクロがクーラー満タンとなったので納竿する事にした。全てのクロ45~50cmと滅多にこんな条件に巡り会うことない。「今回も二匹目のドジョウ」を狙い、ヒゲに想いを馳せたのだった。
釣り師3人が合流
午前4時20分に合わせた目覚ましが鳴り響いた。眠い目をこすり目覚ましを止め洗面所に向かう。顔を洗って頭も気分もシャキッとなる。
部屋に戻りハンガーにかけてある戦闘服に着替えKを待つ。約束の時間通りキッチリにKは現れた。
道具を積み込みいざ油津へ。道中は世間話や今日の意気込みなどを話しながら、何のトラブルもなく少し早めに港に到着。まだ少し時間があるので道具を降ろし二人でコマセ作りを始める。一通り作り終わる頃、後ろから車が一台やって来た。
おはようございます!
挨拶は警察官のM氏である
おはようございます!おひさしぶりですね!
ハイ!よく来るんですが、中々釣れなくて今日はよろしくお願いします!
笑顔で答えるM氏であった。釣り談話で盛り上がっていると次々と釣り人が集まってくる、中には見慣れた顔ぶれもいた。釣り仲間のネットワークができるので世間は狭いものだ。
すでに船長が岸壁にヘッドホースを付け我々を待っていた。早々に皆で荷物を積み込みようやくの出船となった。
まだ薄暗い中、瀬を照らしながら釣り人を次々と降ろしてゆく。風もなくウネリもなく海の状態はいい釣り日和を思わせる。全ての釣り人を降ろしたところで最後はいよいよ我々の番。
荷物を前に運び準備する、先にM氏とKを瀬に降ろし荷物を手渡しする。荷物を降ろし終えると、船頭に手を挙げて感謝を伝えて見送った。
まだ少し薄暗いので二人に明るくなってから動こうと伝え、バックから水とコールマンを取り出しコーヒーを沸かすことにした。磯でのモーニングコーヒータイムである。全然慌てることはない。じっくり今日の作戦会議も兼ねながら、頭の中を整理していく大切な時間でもある。
ようやく朝陽が磯を照らし始めた。まず始めに行ったのが荷物を高い所に集める事。そこからM氏、Kにコマセを撒くように伝えた。その間に竿を取り出し仕掛け作りを始めた。仕掛けを作り終えたのでバッカンを抱え二人と交代することにした。
少しづつ瀬際に丹念にコマセを打ち込む。奴らをおびき寄せるために。辺りはすっかり陽も上がり、海も黄金の輝きで一瞬心洗われる気持ちにさせてくれた。後ろの二人を見ると楽しそうに何か話している。
初対面の二人なのに釣りでこんなに仲良くなれるのかと改めて感心した。俺も少しフッと笑みを浮かべ、いよいよ戦いの始まりを告げる事にした。
そろそろ始めようかね!
と言うと二人して笑顔でやってきた。ポイントを告げ、俺はしばらくギャラリーに徹する事にした。あくまでチームで楽しく安全な釣行ができるように。
サングラスをかけ海を見てると竿1本程のタナにかなりいい型がゆっくりと泳いでいる。二人にはまだ何の反応もないまま1時間が過ぎ去った。
まだ底から浮いてきとらんから底狙いをしたほうがいいみたいやね、全游動がいいかも!
仕掛けを変えた二人にベタ底を狙うからハリスを2号に上げるように伝える。仕掛けを変え潮に乗せる。静寂な時間が流れ、彼らは集中しているのか、ずっと一点を見つめ続けていた。シモリ気味の00が次第に入ってゆく。
当たりだ!
俺はとっさに叫んだが、その声は届かずM氏はまだ気づいていない。これからまさかこんな奴が来るなんて誰も予想できずにいた。
続く…
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