自分との闘い
出典元:グレナビ編集部
奴を左におき竿を起しにかかった。しかしいつもならこんなに手こずらないですんなりとこっちの思うようになるのにと次第に焦りがでてきた。
ヤバイ!今までの奴らと桁が違う
そんな弱音を吐いてしまった。
その一瞬のスキを奴は見逃さなかった。海中に穂先が刺さった。たまらず腰を落とし必死に耐えるがそれでも奴の締め込みは強烈で次第に竿の限界近くまできている。
最後の締め込みにレバーブレーキを緩めた。そうするしかもう手立てがなかった。
本当はベイルを起しフリーで出したかったがとっさのことで出来なかった。未熟である。この時点で負けを感じた俺だった。今回は大いに自分の気持ちにも負けていた。
逆転するハンドル。テンションがかかるので中々止まらない。随分糸を持っていかれたみたいだ。
ようやく奴は動きを止めた。竿を起してみたが動きがない。おそらく根に張り付いたんだろう。
暫く待ってみたが状況は変わらずやむなく糸を切った。竿を上げて待っててくれてた仲間達が一言。
めちゃくちゃデカかったね!
やり取りの最中は夢中で気づかなかったが、終わった後に腕がもうパンパンになっていた。顔には汗が流れ落ちていた。
竿を置き仲間に場所を譲りいつもの岩に腰かけさっきの激闘を振り返り、自分の未熟さを改めて感じた一日だった。
完
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