和歌山の磯に立つ

親方の住まいに着きチャイム鳴らす

 

親方の奥さん
親方の奥さん

ハーイ!

 

と女の人の声がした

 

ん?女の人?親方の彼女?まさか?

 

ガラッと戸が開き

 

親方の奥さん
親方の奥さん

どうも、いつも主人がお世話になってます
今お風呂に入ってますけど、どうぞお上りになってください!

 

とご丁寧にご挨拶を頂く

 

俺

いい~え!こちらこそ、えらいお世話になってばかりで

 

と頭を下げた

 

部屋に案内され恐縮してると

 

親方の奥さん
親方の奥さん

いつも仕事から帰って来ると藤田さんの話ばかりするんですよ よっぽど嬉しいんでしょうね?
弟子が出来たって、子供が出来た時みたいでしたよ(笑)

 

と笑っている

 

親方の奥さん
親方の奥さん

本当にありがとうございます。これからも主人をよろしくお願いしますネ!

 

と丁寧に笑顔で言われ こちらも少し緊張ぎみに頭を下げた

 

と、その時

 

鉄工筋 親方
鉄工筋 親方

お~い!上がるぞ!

 

と向こうの部屋から親方の呼ぶ声がした

 

奥さんは

 

親方の奥さん
親方の奥さん

はい!はい!

 

と言いながら部屋を出てゆく

 

しばらくすると、タオルで頭を拭きながら

 

鉄工筋 親方
鉄工筋 親方

監督さんお疲れさんです!

 

とビールを片手に握り、酌をしてくれた

 

鉄工筋 親方
鉄工筋 親方

ビックリしたろ~!うちの嫁さん週に1回掃除と洗濯にやってくるんよ

 

差し出すビールを受けてると、鍋を抱えた奥さんが

 

親方の奥さん
親方の奥さん

大したご馳走はありませんが・・・

 

と、カセットコンロの上にすき焼き鍋を置いた

 

俺は恐縮して頭を下げた

 

鉄工筋 親方
鉄工筋 親方

監督さん、明日和歌山に行くよ!仲間に聞いたら結構いい型上がってるらしい、明日は大丈夫?

 

俺

はい!問題ないです。あとそれから親方!その「監督さん」はやめましょう(笑)仕事を離れたら、親方の弟子ですから!

 

鉄工筋 親方
鉄工筋 親方

あははは~!そんなに言うなら、名前で呼ぼう

 

と嬉しそうに言った しばらく考え込んだ親方は

 

鉄工筋 親方
鉄工筋 親方

監督さんの下名前は何やったかな?

 

と急に聞いてきた

 

俺

宗明です。

 

それを聞いて

 

鉄工筋 親方
鉄工筋 親方

じゃ~!宗明やからアキとでも呼ぼう!それでいいですか?監督さん!

 

俺は思わず笑ってしまった

 

俺

親方!敬語もおかしいし、また「監督さん」って言いましたよ(笑)

 

台所で聞いていた奥さんも笑っていた それを見て3人で大笑い(笑)

 

鍋もすっかり終わり、2人して明日の準備に取り掛かる

 

鉄工筋 親方
鉄工筋 親方

カッパ、持ってきた?

 

と親方が聞く

 

俺

えぇ!明日天気悪いすか?

 

鉄工筋 親方
鉄工筋 親方

いや!そうじゃなく、いつも常備しとかな、何があるかわかれへんし?
なければ、俺のあるから問題ない

 

となり部屋で奥さんが

 

親方の奥さん
親方の奥さん

子供の遠足みたいですね(笑)

 

と笑っていた

 

全ての準備を済ませ、奥さんがセットしてくれた布団にもぐりこみ夢の人になった

 

翌朝、奥さんの用意してくれた朝食をダッシュで済ませ
車に乗り込み、笑顔で見送る奥さんに手を振る、二人だった

 

家を離れ高速、地道と快調に車は走る
途中で親方の仲間と合流し親方の行きつけらしい釣り具屋に立ち寄った

 

エサである、赤貝をたんまり一途缶を3つ積みこむ

 

ふと思った…

 

俺

あの一斗缶は何だ?

 

その疑問後、

 

俺

はっ!

 

と理解できた

 

全てにおいてその量は予想以上の多さで驚きの連続だった事、今でも思い出す

 

ようやく釣り場に到着 多くの道具を持ち親方達の後ろをついてゆく
今回は地磯でやると聞かされていたので歩きは覚悟の上だったがあれからかなり歩いている

 

額からは容赦なく噴き出す汗、疲れたと思ってると

 

鉄工筋 親方
鉄工筋 親方

ついたぞ~!

 

との親方の声で辺りを見渡す

 

俺

おお~スゲェ~!

 

声が自然に出た

 

ゴツゴツとした岩が続く波が荒々しく岩をたたくそれはまさに感動だった
親方に言われるままに道具を降ろし、さっき買った赤貝を渡す

 

鉄工筋 親方
鉄工筋 親方

ええか~!まず、赤貝を割って身を取り出すよ

 

まず、お手本をと親方はハンマーで割ってみせる

 

俺

やってみます!

 

と割り始めた、赤貝の血しぶきでたまに顔を汚す
他の仲間も同じように割っている、親方は一斗缶に入ったウニ殻と赤貝を混ぜ、手で海に向かって撒きはじめた

 

準備も終わり仕掛けを作りを始めた皆を見て、俺も本を熟読した知識を開花させようと自分なりにセットした

 

鉄工筋 親方
鉄工筋 親方

おお~、いいんじゃない?

 

と言う

 

鉄工筋 親方
鉄工筋 親方

アキ、今から投げ方を教えるから竿を持っておいで

 

みんなの邪魔にならない場所に移動して

 

鉄工筋 親方
鉄工筋 親方

ええか~!リールのレバーを起し振りかぶって投げるんやで~!
投げたら仕掛けが着水するのがわかるから、着水前に指で糸を押さえる
じゃないとパーマになるからその状態を「バックラッシュ」と言う、そうならないようにしっかり指でおさえるんやで~!わかった?

 

そして、親方自ら投げて見せた

 

鉄工筋 親方
鉄工筋 親方

とりあえずうまくなるまでがんばれ!

 

言われるままに何回も何回も投げ続けた、いくらやってもパーマばかり何度も何度も糸をほぐす
あれだけ現場の池でやったのにまだまだやなと思った

 

やってるうちに何とか、サミングも出来るようになってきた
今日はとにかくこれだけマスターしようと昼ご飯もそこそこに投げ続けた

 

頭の中は綺麗に投げるイメージだけは、完璧に出来ていた、少し休憩と

 

鉄工筋 親方
鉄工筋 親方

エサの付け方を教えて下さい

 

と座り込んでる親方の元へ

 

だが結局帰るまでエサをつけず、投げ方とエサの付け方だけで納竿となった
みんなと一緒にやれなかった事は少し残念ではあったが

 

何とか、投げ方もエサの付け方も自分なりに満足出来きて良き日であった
道具を片付けていると、親方とその仲間の皆さんがストリンガーに50~60cm位の石鯛を何枚もぶら下げ帰ってくる

 

俺

おお~!スゲェ~!

 

と思わず言った

 

釣り仲間達
釣り仲間達

あははは~!小さい小さい!

 

と笑いながら皆が言う

 

俺

えぇ~これで小さい??えぇ~?いつもどんなん釣ってるんだろう?

 

とつぶやいた…

 

続く…