石鯛リベンジ戦で待望のヒット!だが初めての事でどうすればよいのか。絶対釣りあげたい気持ちはあるが、現状耐えるだけで精いっぱいな俺だった。
和歌山磯釣り 大物石鯛との闘い
何者かが掛かったは良いが、奴は右へ左と力強く走りまわる。後ろは後ろでというと、師匠の視線が俺的にはプレッシャーで痛かった。まずは師匠からのやってみろ精神だ。
▼前回のあらすじ
https://gurenavi.jp/2017/0803225124.html
そんなやり取りの中。奴も観念したのか、力も弱まり姿を見せた。初めて見るブルーで熱帯魚の親分みたいな顔。それを見た師匠は
ワオ~、デカイなぁ!良いぞ、アキ!
師匠!何すか?この熱帯魚の親玉みたいな奴は?
あははは!それは、青ブダイって奴じゃ!
アオブダイとは?
体色は濃青色で、雄では各鰭が橙色になる。頭部は角ばり、老成すると頭部に大きなこぶ状突起ができる。これは雌雄ともに発達するためこの形質で雌雄を区別することはできない。体長80cmに達する大型種。
引用元:WEB魚図鑑
俺は、もう腕はパンパンで足もガクガクしていた。石鯛ではないものの、力を全て出し切った感覚で脱力感に見舞われた。
まぁ~最初はそんなもんやろう、アキ!リリースしろ!
師匠は冷酷に言う。せっかくの初物なのに…と思い、リリースした。俺は疲れと脱力感で少しゴロリと横になった。石鯛はそう簡単に釣らせてくれない。磯には様々な魚がいて、エサ取りも沢山いるんだな。そんな事を思いながら起き上がる。
集中力が切れない内に改めてエサを付け同じポイントへと投げることにした。糸にマジックで印をつけておいたので、難なく割れに入って行った。
よっしゃ!
竿をピトンにかけ、ちょっと辺りを見ると師匠と弟子さんがゴロッと横になってもうイビキをかいてる。少ない睡眠だったから眠いんだろうなぁと。磯に静寂な時間が流れてゆく…
「ガツンッ」
皆さん!!何かがきてます!!
俺の大声に師匠と弟子さんが飛び起きた。もう弟子さんの竿は岩にヘバリ着くように曲がっている。
それを見て慌てて竿をピトンから外し、合わせをグゥンッといれる弟子さん。良く見るとかなり締め込んでる、やり取りを見ているだけでかなりいい型だと想像できる。
暫く何度かの締め込みを繰り返し、何とか底が切れたみたいで観念して石鯛が浮いてきたではないか。
おお~デカイ!
横で見ていた師匠が一言。
まあ~まあ~のサイズやな。
えぇ~!これでまあまあなんすか?いい型ってどれだけ大きいんすか?
弟子さんは手のひらで計って、平静に「60ぐらいやな?」と言ってのける。無造作に獲物をストリンガーにかけタンポリに入れた。さっきまでゴロゴロしてた師匠がようやく動く。エサ付け戦闘モードにいよいよ入る。待ちに待った師匠のお手本拝見だ。
よし!いくぞ~!
と気合を入れ第1投。俺も、仕掛けを上げエサを付け替える。
念願の三紋稿
2人の顔付が変わり穂先に集中してるのがあからさまにわかる。俺はたまらなく喉が渇いたのでクーラーを開け、ジュースを一本取り出した。まだジュースを開封する、その瞬間
アキ!ちゃんと見とかな~!もうアタリきてるで!
え?と思い走り寄ってみると、たしかに「コンッ、コンッ」と穂先を叩いている。
まだまだや!今のが前当たりやから、ピトンから竿をはずし手で持っとけ!その内穂先が海中に刺さるからな!
言われるまま手持ちで今か今かと待つ。心臓が口から飛び出すとは正にこの事である。
これ程、1分2分が長く感じたことはなかった。しかし、奴はそんなに俺を待たせはしなかったようだ。いきなり穂先がきれいに海中に刺さった瞬間
今だ!
俺はすぐさま合わせを入れる。すぐにズシンとくる重量感が一気に伝わってきた。
おぉ!やったな!掛かったで!
ただ奴は抵抗を止めない、ひたすら暴れまわる。先ほどの青ブダイの比ではないがそれでもなかなか良い引きだった。
今回はその証拠に竿が起せて巻ける、ゆっくりと海中から魚体が見えてきた。ハッキリ3本縞が見えた。
アキ!念願の石鯛や~!!
夢にまで見たあの石鯛がすぐ目の前に出てきた。感無量であった。そしてこの後どうすればいいのか迷っていると、師匠は下に降りて行き道糸握り、石鯛をぶら下げて戻ってきた。
初物おめでとう!
真っ黒な顔の笑顔で握手までもしてもらい、俺は感動の瞬間だった。
あれから年月が経ち
師匠と幾度か釣行を繰り返した。しかし現場がお互い遠く離れてしまい以前のように中々一緒に行けるチャンスがなく、1年が過ぎた頃。自分自身の都合により関西を去る事となり、師匠との釣行は結局叶わなかった。
しかし、師匠との出会いから学んだ事は全てが俺の中で今もなお生き続けています。師匠。あなたに会えた事で自分の道と人生が見えました。
今の自分があるのも周りの友も全てあなたから始まったものです。これは、感謝以外何もありません。本当に有難うございました。
師匠へ
あの時の情熱と志はまだ、あの時のままです。
「磯に表札を」を約2年もの間、釣果情報がない時につなぎで書いてましたが勝手ではありますが暫くお休みします。いつも愛読いただきありがとうございました!
完