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【磯に表札を】ホームグランドの地磯サボテン公園(宮崎県)編(第一話)

随分前になるがよく通った場所があった。今回はその事を記したいと思う。

 

目次
ホームグランド
とある7月の暑い日

 

ホームグランド


「宮崎県南富士の防波堤」がそのひとつ。今は柵が設置され関係者以外立ち入り禁止となっているが以前は多くの釣り人が通ってきて賑わっていた。中にははるばる福岡からやって来る猛者もいた位だ。

 

当時はそれくらい魚影も濃く大きなクロ、オナガがよく出て多くの釣り人を魅了したものだ。あの頃はとにかく人気の場所であった。防波堤の周りには多くのテトラが点在しそれが漁礁となっていた。イカ、真鯛、チヌ、クロ、オナガと魚種も多彩で人気の場所でいつも仕事を早めに切り上げ毎日のように通ったものだった。

 

皆で多くのコマセを撒きマキエをひらうクロを寄せるも捕れるのは、せいぜい大きくて45cm止まりのクチブトだけ。デカイ奴を掛けるもテトラの下へと逃げる習性をしっかり学習してる奴ら。だからバラシが当たり前。しかしながらその正体はほとんどがイズスミのデカ版の仕業だったことも珍しくない。

 

イスズミは大体60オーバー70cmクラスのモンスター級ばかりでクロ狙いの1号竿で適うはずもなく。掛けた途端、一気に100mほど糸を持って行かれる始末でなす術もなく「はい!サヨナラ~」という感じ。

 

それでもなぜだか面白くひたすら通ったものだった。また、ここでよく会う釣り人との情報交換の場にもなっていて唯一、我々の遊び場でもあった。

 

 

とある7月の暑い日

その日も仲間達や常連さん達といつものように仕掛けを作る者やコマセを撒く者達とワイワイ言いながらやってると、向こうから見知らぬ親子連れがやってくるのが目に入る。子供はおそらく小学生の高学年ぐらいに見えた。

 

こんにちは!

 

挨拶の意味も込め、声をかけるも返事がない…

 

聞こえなかったんかな?と思い、再度

 

こんにちはぁ~!!

 

と少し声のボリュームを上げ言い放つとビックリしたのか、近くの仲間が俺を見た。

 

ん???

 

しかしそれでも返事が返ってこない。流石にこれで頭の血管が「プチン!」と1本切れた音がした。(俺は短気な性格である…

 

こんちわぁ~ぁ!!

 

とボリュームMAXで叫んでいたようだった(仲間からあとで聞いた話)すると、凄くビックリした様子で小声で

 

小学生

こんにちは…

 

と頭を下げた。

 

少し言い過ぎたかなと思い…

 

僕は何年生かな?

 

と笑顔を見せながら聞いてみた。

 

すこしだけ笑顔で

 

小学生

小学5年です!

 

と予想外にも大きな声で答えてくれた。さっきからそのいきさつを見ていた世話好きのM氏が小学生親子を手招きし

 

釣り仲間M氏

そんなところにおらんでこっちにきない!(おいで)

 

釣り仲間M氏

道具はここで仕掛けも、ここで作ったらいいから!

 

それを聞いて安心したのか、その親子は素直に仲間皆に頭を下げ愛想笑いを浮かべながら荷物を置いた。

 

そう。いつもこんな調子で誰とでも仲良くなれる不思議なM氏。M氏のコミュニケーション能力の高さにはいつも脱帽ものであった。すぐに人と仲良くなれる力がある人は、どんどん素敵な仲間たちが集まってくるものだ。釣りにおいてはすごく大切な事である。

 

そして笑いながら

 

釣り仲間M氏

釣人はみんな友達なんだぜ!(キリッ)

 

とキザなセリフを吐き(笑)、笑いながら何もなかったようにテトラへ消えていったのである。

 

続く…

 

https://gurenavi.jp/2017/0603004746.html

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