「油津 A級瀬 ヒゲ釣行」

Kからの電話から2週間経ったころ ようやく仕事も落ち着き
時間の余裕が出来たのでKに電話を入れてみる
「お疲れさん! 今電話大丈夫か
「はい!大丈夫です。」
と歯切れのいい返事が返ってきた
「明後日の土曜日どうだ❓ 油津に行くか⁇」
「えっ!マジすか?」
「ああ~ヒゲに乗るか?」
「ええ~あのヒゲですか~! ハイ⁉絶対行きます!」
電話の向こう側からKのはしゃぐ様子が伝わってきた
事前に船頭さんに連絡を入れてヒゲ瀬の当番日を聞いて予約を入れておいたので
心配なかった 念のために船長に電話を入れた
「もしもし 俺です予定通り土曜に2人でいきます」
すると
「そうか、わかった ちょっと頼みがあるんやけど?」
と間髪入れずに
「お前の知っとる あの警察官のMさんが一緒に釣らしてくれと言っとるけど 構わんか?」
「Mさんがですか?…. ああ~いいですよ 3人でも出来るから大丈夫 大丈夫!」
「そうか、そうか、ありがとね!さっそく連絡しとくわ Mさんも喜ぶわ」
船頭との長い話を終えKに電話入れる
「お疲れさん一人ゲストが来るからそのつもりで あとは予定通りで船頭さん家に6時集合やから 4時半に迎え来てくれるか?」
「了解!しました。」
電話を切り さっそく頭を釣りモードに切り替え
まずは 釣具屋さんに行き小物を買い込みエサの予約を入れて帰宅する
久々でもある 宮崎南部日南市油津のA級瀬ヒゲバエの釣行の日がやってきた
ここ、ヒゲバエには特別な想いがある
いつも乗るたび ワクワクな気持ちにさせてくれ
そしていつも色んな夢をみさせてくれる磯
随分 昔になるが あれは たしか7月の中頃 夏の始まりで暑い日の出来事で
いつものように船長に ここでやれ!と一人でヒゲに乗せられる
朝早くから竿出しをしていた
いつも通りコッパグロと戯れ 飽きがきたら昼寝としゃれ込む                          どれぐらいたったのだろう すっかり寝込んでしまい
降りかかる波のしぶきで目を覚ました
起き上がり海を見るとすっかり潮が満ち 鮮やかな青色に変わっているではないか
「オオ~いい色の上りが入ってきてる……」
本当にこんなきれいな上り潮今まで見た事ない 余りの絶景に暫く海を見つめていた
ようやく気を取り直し 竿を握りコマセを際に振り込む
腕時計はすでに3時を指している
サングラスを通して海中を覗くと下でかなりデカイ奴が
コマセを拾っているではないか
それを見ると身体に熱い血が駆け巡った
早々に仕掛けをセットし一投目を振り込んだ
際にコマセを三つほど入れ 当たりを待つ
いつもながらこの緊張感がたまらなく好きで 至福の時だ
流れゆく潮に馴染んだウキがシモリ始めた…
「イケ イケ
オープンベイルにした糸を中指で押さえ穂先に全神経集中する
「ギュン~!」
穂先が海中に刺さり押さえた指から糸が出た
「来た!」
これはかなりデカイ‼ 
糸から伝わる重量感が半端ない
ここでひとつの不安があった 際で食わせるとなかなか難しい
幾度となく痛い目をみている
そんな過去の思い出が頭をよぎった
その一瞬を奴はやはり見逃さなかった、
ため切ってた穂先が弾き戻った
奴に軍配が上がった…. 
張りつめていた糸がひらひらと風になびいている
明らかに 俺の 負けを物語っていた
おそらくこのままじゃ同じ結果に終わると思い
奴らを沖に誘い沖で勝負しようと考えた
運良く潮が沖へと払い出しその先には本流がいる
正に絵に描いたような好条件である
逸る気持ちを抑え仕掛けをやり直す
今度はシンプルな全游動でやってみる
仕掛けを振り込み潮の流れに乗せてゆく
次第にウキが沖へ沖へと 潮壁に行ったのかウキが少しづつシモリ始めてゆく そこが潮壁だ!
出していた糸を指で押さえ  しばらく糸を止めた状態で様子をみる
横に寝かせた竿を軽く引いてきいてみた すると、いきなり竿ごと持って行った
「来た!」
「狙い的中!」
竿を起こす分だけ糸を出しベイルをロックした
それから強引にこっちを向かそうとするが 中々奴もしぶとい  何度か竿でいなしていると ようやくこっちを向いてくれた
これでようやく主導権が取れた
それから何度かの締め込みをかわしようやく御用となった、
それからはパターンがわかり 入れ食いモード突入となり  イサキにクロとクーラー満タンとなったので納竿する事にした
全てのクロ45~50と滅多にこんな条件に巡り会うことないだろう
「今回も二匹目のドジョウ」をとヒゲに想いを馳せた
4時20分に合わせた目覚ましが鳴り響ている
眠い目をこすり目覚ましを止め 洗面所に向かい顔を洗って頭も気分もシャキッとなる
部屋に戻りハンガーにかけてある戦闘服に着替え Kを待つ  約束の時間通りキッチリにKは現れた
道具を積み込みいざ油津へ  道中何のトラブルもなく少し早めに港に到着 まだ少し時間があるので道具を降ろし二人でコマセ作りを始めた
作り終わる頃 後ろから車が一台やって来た
「おはようございます!」
挨拶は警察官のM氏である
 
「おはようございます!おひさしぶりですね お元気でしたか?」
と返すと
「ハイ!よく来るんですが中々釣れなくて今日はよろしくお願いします!」
笑顔で答えるM氏であった
釣り談話で盛り上がっていると次々と釣り人が集まってくる
中には見慣れた顔ぶれも
すでに船長が岸壁にヘッドホースを付け我々を待っていた
早々に皆で荷物を積み込み ようやくの出船となった
まだ薄暗い中 瀬を照らしながら釣り人を降ろしてゆく  風もなくウネリもなく海の状態はいい釣り日和を思わせる  全ての釣り人を降ろし 最後は我々の番である
荷物を前に運び準備する、
先にM氏とKを瀬に降ろし 荷物を手渡しする ようやく降ろし終わり
船頭に手を挙げて感謝を伝える
まだ少し薄暗いので二人に明るくなってから動こうと伝え バックから水とコールマンを取り出しコーヒーを沸かすことにした 磯でのモーニングコーヒータイムである。
ようやく朝陽が磯を照らし始めた
まず、荷物を高い所に集め M氏、kにコマセを撒くように伝えた
その間に竿を取り出し仕掛け作りを始めた
仕掛けを作り終えたのでバッカンを抱え二人と交代することにした
少しづつ瀬際に丹念にコマセを打ち込む
辺りはすっかり陽も上がり海も黄金の輝きで 一瞬 心洗われる気持ちにさせてくれる
後ろの二人を見ると楽しそうに何か話している
初対面の二人なのに釣りでこんなに仲良くなれるのかと改めて感心した
「そろそろ始めようかね!」
と言うと
二人して笑顔でやってきた  ポイントを告げ しばらくギャラリーに徹する事にした。
サングラスをかけ海を見てると竿1本程のタナにかなりいい型が
ゆっくりと泳いでいる
二人してまだ何の反応もないまま1時間が過ぎ去った
「まだ底から浮いてきとらんから底狙いをしたほうがいいみたいやね」
「全游動がいいかも!」
仕掛けを変えた二人にベタ底を狙うからハリスを2号に上げるように言う
仕掛けを変え潮に乗せる 静寂な時間が流れ 彼らは一点を見つめる
シモリ気味の00が次第に入ってゆく 当たりだ!M氏は気づいていない これからまさかこんな奴が来るなんてみんな予想もしていなかった…….
つづく