宮崎県北門川 クロ釣り編「ヌメリバエ」(第3話 最終章)

釣りは 「男のロマン」と誰かが言ってたなあ….

 

時期は7月半ばだったと思う、クロ釣りにはまりいつもついてくる青年を連れてヌメリバエに乗った
本当は沖マツに乗りたかったが、時間が遅かったため先客がいた為
余儀なくヌメリバエとなった。
何故?
沖マツなのかと?

今の時期は海苔釣法がベストで 来たらほとんどが45~50オーバー間違いなし
何回もデカイ奴を上げてる実績あるポイントである
それから何故か相性も良かった

今の時期ここには余り乗る事はないが、

「たまにはいいか~!」

気を取り直し

「よし!」

と気合を入れる
いつものようにコマセを打ちに30分かける、その間、仕掛けをお互いに
作りあう

「どうだぁ?出て来たか?」

「はい!」

「コッパが湧いてます!」

「やっぱりなぁ~!」

俺はパン粉を取り出し集魚剤と混ぜ団子を作った、エサ取り対策の1つだ
青年は時計を見て

「30分経ちました!」

「ああ~……!そうか、始めていいぞ

待ってましたとばかり うずうずしていた、青年を見てると
昔のあの自分の姿とダブって
何故か?笑いが込み上げてきた

「若さっていいなぁ~!」

自分が年を取ったな、と改めて自覚した日だった
状況はコッパの入れ食い状態でどうにもならず、
こうなったら、パン粉釣法だと
付け餌に作っておいた、パン粉を付けて流す
タナはチョット深めに入れる、引かれ潮が本流とぶつかり合いいわば潮壁で
シモリ始めた、この瞬間がいつも緊張する
少し糸を張ってみる、

その時

「ガツン!」

と穂先を絞り込んだ!

オープンベイルから出てゆく少しするとヤツは止まった、
すかさず指で糸を押さえ、そして竿を起こす、何とかこっちを向いた
ここでベイルを倒し巻きにかかった,
ためた竿に

「コンコン」

と首を振る

「あ~あ~クロじゃない、イズスミやな?」

何回もの締め込みを耐えて浮いたのは、やはりイズスミであった

「黒い友達を連れて来て」

と伝言を頼み丁寧に海に帰って貰う

青年は相変わらずコッパと遊んでいた、イズスミからあとが続かず竿を置き
磯をぐるりと探索することにした、

この時期は水温も上りエサ取りの天下となるので中層から底狙いで海苔釣法がベスト
と、思ったがまだここではやったことなく海苔も生えていないみたいだった

ノリを諦めて昼食でもと青年に声をかける
今の状況を話しながらチョットコマセをやめて瀬を休ませようと
夕方の潮を狙うぞと話をした
昼食も済ませ しばらくタバコをふかしながらゴロッと横になり
何となく瀬周りを見てた その時

「ん?」

瀬に海苔らしき物が?
近づき良く見ると、海苔である、しかし,あまりにも小さい
若芽が3つほど生えていた

「おお~!あった!」

との声に青年が飛んできた、

しかし、こんな事で喜ぶなんてと変な顔をしてたのを今でも思い出す
さっそく、青年に、これを付けて流してみろと
針に海苔を縫い付けてやった、

「え~?こんなんで釣れるんですか?」

不思議そうな顔で俺を見た

タナは全游動にして当たりを待てと青年に念を押す

ただ初めてのノリ釣法であり言われるままに流す青年
ウキが潮壁で揉まれ始めシモってゆく糸を張るようにと言った

その時だった!

「ギューン!」

と穂先が海中に刺さった、青年は慌ててベイルを倒しリールを巻きにかかった

「巻くな!」

しかし、時は既に遅しリールを巻いた事で一発でのされシズミに入られ穂先は戻った

「ワァ~!やられた!」

と悔しそうに俺の顔を見た

「あははは!」

と俺は笑った

「デカかったですわ!あれクロですか?」

興奮気味で話す青年に

「45オーバーやな!」

と言うと

残念そうな顔で震えるてる手で仕掛けを作り直していた

今が時合と思い俺も始めることにした
流れの良く何故か、予感もした
ゆっくりウキが流れてゆくその時、ウキに変化が、静かにシモってゆく

「アタリやな!」

と思い糸を張った、グングンとウキがシモって行った

すぐさま竿できてみた、1発で走った!

「よっしゃ~!」

と竿をおこす、凄い反撃が襲ってきた

たまらず、竿を反対に倒し耐えた、ヤツは止まった、

「今だ!」

と竿をおこす、起しきるとゴリ巻きをする、ヤツはまた走った

すかさず反対に竿を倒し竿で寄せる、何度かそんな事を繰り返しようやくウキが見える所まで寄せた

これからが正念場である、もう1回最後の締め込みがある、糸は一分たりとやらない主義できてる

「さあ~!勝負じゃ!」

と構えた、ヤツはやはり走った!

その方向に倒しためた,時間が永く感じられた、穂先がゆっくりと戻ってくる
もう少しやなと吹き出る汗も気にならず集中した

「見えた!」

ようやく捕れたと、タモに寄せ入れた、
それを見ていた青年が手を叩いて喜び駆け寄ってきた、
かなりのいい型だ、50は超えてると確信したが計るまで喜べない
カバンからメジャーを取り出し慎重に計る、51cmあった、

青年が

「スゲェ~!50オーバーが!」

と自分事の様に喜んでくれた

「うん!まだおるからやれよ!」

と最後の海苔を付けてやった

そして、一服と高い所に上がり潮の流れを見てると

「来た!」

と青年の声がした、どうするか見てると

「あっ!」

と言う声と共に穂先は無情にも跳ね上がった

青年は戻った穂先を呆然と見つめしばらく、立ち尽くしていた
まあ、そう簡単に獲れるものでもないしこれも、修行のひとつだろうと
クロ釣り師の登竜門だと身を持ってわかっただろう

海苔がなくなり生でやってみたが、すべてコッパにやられ完敗で
これをもって納竿の時間となり磯を洗い船を待った

船長が

「何枚出ました?」

と聞く

「一枚いい型が!やはり海苔やな?」

と言うと

「エサ取り多いからですね!海苔がやっぱりイイすね」

とどこもエサ取りで全滅みたいな話だった。
写真を撮りたいというので検量してみた、やはり、50を切っていた

49.5cmだった

青年に

「死後硬直して1~2cmは縮むからな」

と青年に言う、帰りの車の中は逃がした魚は大きかった!の話で退屈はしなかった
それから、5年目に念願の51cmの捕りましたと青年からの電話を受けた

 

完…