宮崎県北門川 クロ釣り編「沖磯の初乗り」(第2話)

釣りは 「男のロマン」と誰かが言ってたなあ….

 

ワクワクしてる気持ちを抑え車から降りる
港には多くの荷物がすでに並べられていた

「荷物を先に降ろしましょうか?」

山ちゃんの声がする

「ああ~! わかった しかし えらい人が多いな!」

「何か今 ハマチが廻っとるみたいでみんなハマチ狙いですわ」

「そうか~! クロ釣りはいないんか?」

「この前もこんな感じやったですね」

そんな会話を繰り返してと 明かりがついた建物の向こうから人がゾロゾロ出てきた
あとで知った事だが それは船宿らしく県北ではほとんど常備されてるらしい
あの頃そんな事にも驚きを覚えてた

県南では船宿と言ったオシャレなものはなく いきなりの港待ちであった

初めての地ではあるが

「おはようございます!」

と挨拶を笑顔で交わしてくれる見知らぬ釣り客
いつも、この気持ちに救われる瞬間だ
誰からともなく手渡しで船に荷物の積み込みが始まった
ようやく全て積み込み終わり一服してると

「おはようございます!」

と船長らしき人が来られた

山ちゃんが

「船長さんの河野さん」

と紹介してくれた
お互いに簡単な挨拶を済ませ船に乗り込んだ
船がデカイだけ客室も広い

やがて船は静かに港を離れてゆく流れゆく港の景色
暫くするとエンジン音が高鳴った 港を出てスピードを上げたせいである
少しのウネリせいか心地よい揺れに気持ちが酔いしれているようだ
闇夜に浮かぶ島が時々目にかかる
船が近づく度に 真っ暗な島から一斉に明かりが点く まるでホタルみたいである
これも後で知った事だったんだが
場所取りの為早くからその瀬に乗ってるらしく

「もう、乗ってるぞ~!」

と合図を送ってるらしい

「なるほど!」

そんな初めての出来事、経験に驚かされている内に
ほとんどの人達は降りてゆき
いつの間にか 我々だけになっていた
慌てて操舵室に行くと船長が言った

「あんた達どこにいくん?」

俺は山ちゃんの顔を見た、困った顔で船長に言う

クロをやりたいんですが、いい所ありますか?」

「ん?みんなハマチで来てたからね、まあ~狙えば来るはずやけど?なんせ、ハマチが廻っとるからどうだろうね?」

とにかくどこでも良かった、竿が出せればと言う気持ちだった、

「今から瀬付けするからポイントは船着けの右側のワンドをねらったらいいから」

そう言って我々を降ろし去って行った。

場所は変われど手順は一緒である、コマセを作り仕掛けを素早く終わらせ
瀬際のマキエを打ち込み始めた、
撒くこと30分東の海からオレンジ色の朝日が昇り始めてる
バッグの中からワンカップを取り出し岩に供える
たまにやるひとつの行事である、安全祈願と豊漁祈願である。
山ちゃんはもうやる気モードに入っているみたいだ

「いいよ!やって」

と言うと待ってましたとばかりに1投目を投げた…
ウキがなじんだ瞬間竿をひったくる当たりがきた、

「おお!何や何や?」

 

「クロと違う青物や!」

しばらくしてタモに収まったのは明らかにハマチ、それからは入れ食い状態が続いた
腕がパンパンになるほどに釣りまくった、しかし、あくまでクロが頭から離れない
時計を見るともう昼を回っている
「山ちゃん!メシ食ぉ~か?」

声をかけると 「了解!」といつもながらの軽い返事で竿を置いた
磯で食べるご飯は格別である、温かいラーメンをすすりながら言う

「ハマチはいいからクロを狙お~!」

と言った俺を見て

うん!だね!」

また、軽い返事で返す、
ハマチの為にマキエを全部使え切ったのでもう一度作る二人
良く見ると朝よりは潮が速くなっていた、
サラシが伸びてゆく何か来そうな雰囲気が漂う…
なんせ初めての地 初瀬なので周りのデーターが皆無である
それではと高い所から見渡してみようと上に上がり暫く海を眺めていた
サラシが伸びてゆく先に幾つかの沈み瀬が点在してる、
おそらく20mぐらいの距離と思える

「山ちゃんこのサラシが伸びてゆく先に沈みがあるからおそらく向こうから食い上がって来るはず?」

と山ちゃんに伝え俺は際にコマセを打つ
様子を見ながら打ち続けているとサラシの先に潮壁なるものが出来てるではないか、
まさに本流が先で流れている

「山ちゃんあの先に潮壁があるからあの手前から流し込めばあそこで食ってくるはず」

俺は高鳴る鼓動を落ち着かせ仕掛けを打ち込んだ
ベイルを起し出てゆく糸を中指で軽く抑えウキを見つめる
潮壁に近づいてゆくと少しづつウキがシモってゆく
ここからが緊張するところだ、シモっていたウキは完全に見えなくなった
潮壁に入った!出していた糸を中指でロックした
軽く竿でキイてみる そしてそのまま待ってみた

「ギュン~!」

いきなり竿に乗ってきた

「よっしゃ~!」

狙い通りドンピシャリである
沈みに走る奴を交わしタモに収まってくれたのは、丸々とした40程のクロだった。
それを見ていた山ちゃんの目の色が変わった
すぐさま山ちゃんに場所を譲り暫く見学することにした、タバコも吸いたかったし

流れてゆくウキを見てるとやはり潮壁の近くでシモってゆく

「山ちゃんそのへんで糸を止め竿でキイてみい~!」

と言った瞬間ギュンと乗ってきた
またしても同じサイズである
こうなったら同じパターンで入れ食い状態である。
二人で交互に竿を曲げるタモ入れが忙しい
潮が変わった、押し潮気味になってくる

「山ちゃん休憩しょうか?この潮じゃ食わんわ」

「うん!だね!」

と言う事でコーヒータイムにした、時計を見ると3時半
夕まず目の一発狙いだなと気合いを入れる、

「さあ~!やるか!」

よく見ると さっきまでの寄せ潮が少し強めになってきてる。
釣りずらい 油津での上り潮がガンガン寄せてくる瀬を思い出した、
結局は瀬際狙いしかないと思った、しかし、リスクが大きい
かけるとすぐ瀬取られてしまう ハリスを2号に上げるしか選択肢はない
掛けたら糸はやれない
コマセを入れながら頭の中でシュミレーションをしてる
タナを2ヒロの固定でセットする
ウキは際にくるとシモりはじめる、少しづつ穂先を入れてゆく

「ギュン!」

穂先が海中に刺さった
竿を起す分だけ糸を出しためた、
これ以上は糸はやれんノサレかけるが左右にいなし何とか山ちゃんの出すタモに収まった
かなりいい型である、
すかさず狙うもデカすぎて2度ならずも3度もやられ納竿の時間となってしまった。
磯場を洗い船を待った
帰りも多くの釣り客で県北の凄さを改めて感じさせられた釣行だった

 

続く…